空き家を放置するデメリットは?課税される税金と売却方法を解説

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空き家を放置するデメリットは?課税される税金と売却方法を解説

誰も住んでいない家を放置すると、税制面でも損失が発生する可能性があるのをご存じでしょうか。
課税額を増やさないために処分したくても、築年数が古かったり物件条件が優れてないと、どのように対処したら良いかわからなくなるケースもあるでしょう。
今回は、空き家を所有している方が知っておきたい放置するデメリットと税金、売却方法について解説します。

空き家を放置するデメリット

空き家を放置するデメリット

少子高齢化や経済の衰退などさまざまな要因が影響して、管理されずに放置されている空き家が日本の社会問題になっています。
誰も管理しない家が増えるとどのような問題が発生しうるのか、3つのデメリットを解説します。

老朽化

誰も管理していない家は、築年数が経過しているケースが多いです。
一般的に誰も住んでいない家は、誰かが住んでいる家よりも劣化や老朽化する速度が速く、築年数以上に建物の構造部分が痛みます。
窓を開けて換気されない期間が長くなるほど室内の湿気がこもりやすく、木造部分が腐敗して躯体部分にもダメージを与えてしまいます。
躯体部分のダメージが進むと、地震や台風など自然災害が発生したときの倒壊リスクが高くなるため危険です。
所有している不動産が倒壊によって近隣住宅に被害を与えると、損害賠償責任を問われる可能性もあるので、定期的に清掃や換気をして物件の状態を確認しましょう。

犯罪の温床

誰も出入りしていない物件は、犯罪のターゲットになりやすいです。
空き家は誰かに見られるリスクが少ないからこそ、放火犯が火をつけたり、違法薬物の取引現場になったりするといわれています。
腐敗が進んだ木造物件は燃えやすいため、一度放火されると簡単に近隣住宅まで延焼する恐れがあるので気を付けなければなりません。
また、最近では振り込め詐欺の拠点に使われるトラブルも増えています。
送金先の住所に指定されると、知らない間に大きな犯罪に加担してしまう事態に陥ります。
定期的に管理がむずかしい場合、施錠をしっかりとしたり人体センサーのある防犯機器を導入したりセキュリティ面の強化に努めましょう。

近隣トラブル

夏場に草木が生い茂っていたり、外壁がひび割れてみすぼらしい外観になったりすると、近隣住民から苦情が入る可能性があります。
誰も住んでいない家は犯罪トラブルに巻き込まれるリスクもあるので、治安の悪化や火事の延焼を恐れる住民も多いです。
さらに、管理されずに老朽化した家があるだけで周辺物件の資産価値は下がるともいわれています。
近所に空き家がある物件に対して良い印象を抱く方は、ほとんどいません。
物件にトラブルが起きたときに連絡してもらえなかったり無視されたりしないためにも、近隣住民と良好な関係を築けるように管理を徹底しましょう。

空き家を放置していて課税される税金

空き家を放置していて課税される税金

不動産を所有している場合、居住者の有無に関係なく税金がかかります。
どのような税金がかかるのか、特定空家に指定されると税制面でどのような問題が生じるのかについて解説します。

相続時

相続時には、相続税と登録免許税がかかります。
相続税は土地や建物を相続した方に課せられ、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で算出される基礎控除額がプラスになった場合、プラス分に対して発生します。
被相続人の居住物件だった場合、小規模宅地の特例で大幅に課税額を減らせる可能性が高いです。
登録免許税は、不動産を相続する際に被相続人から相続人に名義変更するための相続登記時に課せられます。
課税額は「固定資産税評価額×0.4%」ですが、遺言書によって法定相続人以外が相続した場合に限っては「固定資産税評価額×2%」となります。

取得時

不動産を所有すると固定資産税と都市計画税がかかります。
固定資産税は、法人や個人と関係なく毎年1月1日時点で土地や建物を所有している方に対して課せられ、「固定資産税評価額×1.4%×軽減税率」、建物の課税額は「固定資産税評価額×1.4%」で算出します。
固定資産税の税率は、不動産の形状問わず一律で1.4%です。
軽減税率は、住宅用地の特例と呼ばれており、建物が建っている土地のみ適用できます。
都市計画税は、都市計画法で指定されている市街化区域内にある土地や建物に課せられる仕組みです。
課税額は「固定資産税評価額×最大0.3%」で算出します。

特定空家になると税金が増加する

日本国内で増加する放置されたまま老朽化している家に対処するため、平成26年に国土交通省は「空き家対策特別措置法」を施行しました。
倒壊リスク・衛生面で有害・景観の悪化・生活環境への悪影響などに該当する場合、国や自治体から特定空家に認定されて、物件状態の改善を要求されます。
国や自治体からの改善要求を無視し続けると、特定空家に指定されて「住宅用地の特例」が適用されなくなり、固定資産税額が増える恐れがあります。
住宅用地の特例とは、住宅が建てられている土地の固定資産税が最大6分の1まで減額される制度で、誰も住んでいない空き家も対象です。
しかし、特定空家に指定されると居住用の建物とみなされなくなるため、住宅用地の特例が適用除外となり、税金負担が最大約4倍に増加します。

放置された空き家の売却方法

放置された空き家の売却方法

誰も住んでいない住宅を放置すると特定空家に指定されて税金が高くなるなどのデメリットがあるので、活用する予定がなければ売却を検討するべきです。
空き家は、建物と一緒に売る方法と解体して更地の状態で売る方法があります。
それぞれの売却方法を解説します。

中古物件もしくは古家付き物件として売却

空き家をそのままの状態で売却する場合、建物の状態がよければ土地のみで売買するよりも高額取引できる可能性があります。
築年数20年以内は中古物件として、築年数20年超えは古家付き物件として販売可能です。
更地にするには解体作業が必要になるため、コストと時間を要しますが、建物と一緒に販売活動するならすぐに購入希望者を探しはじめられます。
「中古物件や古家付きでは購入希望者がみつからないのでは?」と不安視する方もいますが、実際には建物を安く購入して自分好みにリフォームしたいと考える方も多いです。
そのため、築年数や経年劣化の状態を気にして下手にリフォームやリノベーションするよりも、そのままの状態で価格を下げたほうが効率よく売買取引に結びつきます。

更地にして売却

空き家を解体して更地の状態で売却する場合、利用範囲が広がるので居住用物件・店舗・駐車場など買主の希望にあわせて建てられます。
とくに老朽化が進んでいる物件はどんなに安く購入できても修繕費やリフォーム費が高くつくので敬遠されますが、更地であれば問題ありません。
木造物件の解体費用の相場は1坪3万〜4万円ほど、一般的な一戸建て住宅の解体費用の相場は100万円以上の費用がかかります。
解体費用は販売価格に上乗せできるので、エリアや広さなどの土地条件が優れていれば解体費用分を回収できるため、安心です。
建物の構造部分まで腐食していて特定空家に指定される恐れがある状態であれば、購入希望者が見つかる可能性も低いため、解体して更地での売却を検討しましょう。

まとめ

空き家を放置すると老朽化が急速に進み、国や自治体から改善を求められる可能性があります。
それでも管理を怠ると「特定空家」や「管理不全空家」に指定され、固定資産税の軽減措置が適用されなくなり、税金負担が増加します。
利用する予定のない物件は、土地の状態にあわせて適切な方法で手放しましょう。


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