空き家を買取で手放すメリットは?デメリットと手続きの流れを解説
住む予定のない空き家を所有していると、管理の手間やコストが負担に感じることがあります。
そのような場合には、早めに売却して負担を軽くするのがおすすめです。
そこで今回は、不動産売却方法のひとつである買取について、空き家を買取で手放すメリット・デメリットと、空き家を買取で手放す流れを解説します。
空き家を買取で手放すメリット
空き家の売却をお考えならば、まずは買取とそのメリットについてチェックするのがおすすめです。
さまざまなメリットのなかから、魅力的だと感じられるものがあるか見てみましょう。
不動産の買取とは
不動産の売却方法には、仲介と買取があります。
仲介とは不動産会社の紹介で買主を探すもので、自分では買主を見つけられない個人売主にとって一般的な売却方法です。
一方の買取とは、仲介とは違い不動産会社に直接売却するもので、仲介にはないさまざまなメリットがあります。
メリット①早く売却が完了する
不動産を買取で手放すメリットとして挙げられるのが、早く売却が完了することです。
仲介で不動産を売却する場合、目安となる売却期間は一戸建てで6か月~1年ほど、マンションだと3~6か月ほどとなります。
一方で買取を利用した場合だと、早ければ3日~1週間ほどで売却金を手にできます。
早急に不動産を売って新生活をスタートさせたい方にとっては、買取は魅力的に感じるでしょう。
メリット②取り壊しが不要
誰も住まなくなった空き家では、湿気によるカビなどが原因で急速に劣化が進みます。
室内がきれいな状態であれば中古住宅として売却できますが、住めないほど劣化が進んだ空き家だと、取り壊しが必要になることがあります。
仲介で劣化が進んだ空き家を売却する場合、自己負担で取り壊しをおこなわなければなりません。
しかし、買取を利用すれば取り壊し不要で不動産会社に売却できる可能性があることがメリットです。
不動産会社は劣化した中古住宅を買い取った後で建て替えなどをおこないますので、売主の負担で取り壊す必要はありません。
メリット③家具を処分せずに売れる
空き家の売却で悩みの種となるのが、室内に残された家具の処分です。
一般的な売却方法である仲介を選んだ場合、残った家具は自分で処分するか、お金をかけて処分業者に依頼することになります。
一方で、買取の場合には、家具が室内に残った状態で売却できる可能性があることがメリットです。
すべての買取業者が家具の引き取りに対応している訳ではありませんが、家具引き取りサービスをおこなっている買取業者であれば、自分で家具を処分する必要がありません。
空き家を買取で手放すデメリット
空き家を買取で手放すメリットには、売却完了までの早さと取り壊し・家具処分が不要であることが挙げられます。
ただし、買取を選ぶ前には、メリットだけでなくデメリットをチェックしておくことが大切です。
デメリット①安く手放すことになる
不動産の買取におけるデメリットは、仲介と比較して安く手放すことになる点です。
買取を利用した場合に売却価格が安くなるのは、買い取った不動産会社がその物件を再販する前にリフォームなどをおこなうコストがかかるためです。
一般的な買取価格は、仲介における相場価格の70~80%程度となります。
さらに、劣化が進み解体が必要となる不動産であれば、相場価格の50%程度の金額にしかならないこともあります。
買取を選ぶ前には、信頼できる不動産会社に査定を依頼し、金額に納得したうえで売却するのがおすすめです。
デメリット②買い取ってもらえない場合がある
買取を利用した場合、仲介では買主が見つからない不動産でも売却できるメリットがあります。
ただし、どのような不動産でも売却できる訳ではなく、買い取ってもらえない場合があることはデメリットです。
買取業者が対象の不動産を買い取るかどうかを判断する基準となるのが、買い取った後に再販して利益が出るかといった点です。
具体的には、土地の価値が低いだけでなく、解体が必要な不動産は買い取ってもらえない可能性があります。
土地の価格が解体費用と同等またはそれよりも低い場合であれば、買取は難しくなります。
土地の価格が解体費用よりも高ければ、再販での利益が見込めるため、不動産会社が買い取ってくれる可能性は高くなるのが一般的です。
解体費用がネックで買取をおこなってもらえない場合には、自己負担で解体をしたうえで土地のみを買い取ってもらえるか確認するのがおすすめです。
デメリット③買取をおこなっていない不動産会社がある
仲介や買取といった不動産取引を手がけるのは、一般的な不動産会社です。
ただし、すべての不動産会社が仲介と買取の両方をおこなっている訳ではなく、仲介のみしかおこなわない不動産会社も存在しています。
不動産の買取には再販までのコストがかかることから、資金力のある不動産会社でなければ買取をおこなわないのが一般的です。
そのため、空き家を買取で手放したいと思っても、地域によっては買取に対応している不動産会社が見つかりにくいことがデメリットです。
空き家を買取で手放す場合の流れ
空き家を買取で手放すメリット・デメリットを把握したならば、実際に買取がどのような流れで進むかをチェックしましょう。
新生活をスムーズにスタートさせるためにも、全体の流れとスケジュールを把握することが大切です。
流れ①査定
空き家を買取で手放したいと考えたら、まずは買取をおこなっている不動産会社を探します。
地元で信頼と実績のある不動産会社が見つかったら、ホームページのお問い合わせフォームや電話などで連絡を取りましょう。
そして、空き家の買取をおこなっているか確認し、査定の依頼をします。
買取業者は簡単なデータをもとに机上査定をおこなって、おおよその査定金額を提示し、希望に応じてさらに精度の高い現地査定をおこないます。
現地査定では実際の空き家の様子を確認しますが、空き家から離れた場所に住んでいる場合には立ち会いなしで現地査定が可能か確認するのがおすすめです。
現地査定が済んだら査定金額が提示されますので、売却条件などの打ち合わせを進めます。
流れ②売買契約を結ぶ
現地査定を経て提示された査定金額や打ち合わせにおける条件に納得したら、売買契約書で売買契約を結びます。
売買契約のタイミングでは、登記済権利証または登記識別情報、土地測量図や境界確認証、固定資産税納付通知書が必要です。
このほかにも、印鑑証明書・住民票・実印などが必要になりますので、準備を進めましょう。
流れ③不動産の引き渡し
売買契約など書類手続きが完了したら、不動産の鍵を買取業者に渡し、不動産の引き渡しをおこないます。
また、この引き渡しのタイミングでは、売却代金の決済がおこなわれます。
決済方法は、現金決済または口座振込となるのが一般的です。
さらに、売却代金の決済が完了した後には、不動産の所有者を変更する登記手続きがおこなわれます。
具体的には、担当の司法書士により所有権移転登記がおこなわれ、空き家の名義が買取業者へと変更されます。
流れ④確定申告
空き家の売却で利益が出た場合、売却した翌年の2月16日~3月15日の期間に確定申告をおこないます。
不動産売却で得た利益を譲渡所得といいますが、これは不動産の売却代金そのものではなく、不動産購入と売却にかかった費用を差し引いて求める必要があります。
また、空き家の所有期間が5年を超えるかどうかによって、譲渡所得税の税率が異なることは注意点です。
さらに、一定の条件を満たす場合であれば、相続空き家3,000万円特例が適用され、譲渡所得税の負担を軽減できます。
まとめ
空き家を買取で手放すと、早く売却が完了するほか、取り壊しと家具の処分が不要になる場合があることがメリットです。
ただし、仲介よりも安値での取引となることや、買い取ってもらえない場合があることは買取のデメリットとなります。
査定から売却後の確定申告までの流れもチェックして、空き家を買取で手放すことを検討してみてください。